- 01. ROUND関数とは?
- 02. ROUND関数の使い方【基礎編】
- 03. ROUND関数の活用術【応用編】
- 04. ROUND関数と似ている関数の違い
- 05. よくある質問とトラブルシューティング
- 06. 実践!ROUND関数を使った例題3選
01. ROUND関数とは?
ROUND関数の概要
ExcelのROUND関数は、数値を指定した桁数で丸めるための関数です。「四捨五入」を行いたいときに使う基本的な関数であり、表やレポートの見やすさを向上させるために欠かせません。
例えば、「123.456」という数値を小数点第2位で四捨五入したい場合、ROUND関数を使えば「123.46」と表示できます。数値が多く並ぶシートでは、見た目の美しさと読みやすさが大きく変わります。
なぜ「丸め」が必要なのか?
Excelでは計算結果が細かすぎて、桁数が長くなってしまうことがよくあります。特に金額や割合、平均値などは、小数点以下が長いと見にくく、伝えたい情報がぼやけてしまいます。
そこで、「丸め処理」を行うことで、見やすさを保ちつつ情報を正確に伝えることができるようになります。ROUND関数は、その最も基本的で使いやすいツールです。
ROUND関数の基本構文と意味
ROUND関数の構文は次のとおりです
=ROUND(数値, 桁数)
- 数値: 丸めたい対象の数値またはセル
- 桁数: どの桁で丸めるかを指定(正の数:小数点以下、0:整数、負の数:整数の左側)
例:=ROUND(123.456, 2)
→ 結果は「123.46」=ROUND(123.456, 0)
→ 結果は「123」=ROUND(123.456, -1)
→ 結果は「120」
このように、ROUND関数を使うことで数値の見せ方を柔軟にコントロールできます。
02. ROUND関数の使い方【基礎編】
小数点を四捨五入する基本的な使い方
ROUND関数を最もよく使う場面は、小数点以下を丸めたいときです。たとえば「3.14159」という値を小数点第2位で四捨五入したい場合、次のように入力します。
=ROUND(3.14159, 2)
結果は「3.14」となります。第2位以下(この場合は「1」)を見て判断し、四捨五入されていることがわかります。
正の値・負の値の使い分け
ROUND関数では「桁数」を指定する際、正の値、0、負の値で異なる動きをします。
- 正の数: 小数点以下の桁数を指定(例:2 → 小数第2位まで)
- 0: 整数に四捨五入
- 負の数: 小数点より左の桁で四捨五入(例:-1 → 十の位)
例えば、
=ROUND(1234.5678, -2)
この式では、「百の位」で丸めることになり、結果は「1200」になります。数値の桁数調整を柔軟に行えるのがROUND関数の特徴です。
よくあるミスと注意点
ROUND関数を使う際にありがちなミスとして、以下のようなものがあります。
- 桁数の指定ミス: 小数点の位置と桁数の関係を間違えると意図しない結果になる
- 関数ではなく表示形式を使ってしまう: セルの表示形式を変更しても実際の値は丸められません
- 桁数に文字列を入力: 桁数は数値で指定する必要があります("2"ではなく2)
また、ROUND関数は四捨五入しかできません。常に切り上げたい、切り捨てたいという場合は、別の関数(ROUNDUPやROUNDDOWN)を使う必要があります。
03. ROUND関数の活用術【応用編】
会計・経理に役立つ使い方
会計や経理業務では、数字を「きっちり」整えることが重要です。たとえば、1円単位ではなく10円単位や100円単位で丸めることが必要なケースがあります。
次のような式を使うことで、金額を簡単に四捨五入できます。
=ROUND(A1, -2)
これは、A1セルの金額を百の位で丸める例です。結果として「12,345円」が「12,300円」になるなど、帳簿上の処理に便利です。
平均値や割合を見やすく表示する
プレゼン資料や報告書に使う表では、小数点以下が長いと見づらくなるため、ROUND関数で平均値や割合をきれいに整えると印象が良くなります。
=ROUND(AVERAGE(B2:B10), 1)
このようにAVERAGE関数と組み合わせて使えば、平均値を小数点第1位でスマートに表示できます。
他の関数と組み合わせる(SUM、AVERAGEなど)
ROUND関数は他の集計関数とも相性抜群です。たとえば、SUM関数で合計を求めたあと、整数に丸めたい場合は以下のようにします。
=ROUND(SUM(C2:C10), 0)
これにより、集計結果が見やすくなり、報告資料や請求書の精度と信頼性が向上します。
さらに、IF関数やIFERROR関数と組み合わせて条件付きで数値を丸めたり、エラー時の処理もスマートにできます。
=IFERROR(ROUND(A2/B2, 2), "エラー")
このように使えば、計算ミスや割り算によるエラーにも柔軟に対応できます。
04. ROUND関数と似ている関数の違い
ROUNDUP関数との違い
ROUNDUP関数は、常に切り上げを行う関数です。たとえば「3.141」を小数第2位で切り上げたい場合は、次のように記述します。
=ROUNDUP(3.141, 2)
結果は「3.15」となります。ROUND関数のように「四捨五入」ではなく、常に大きい方向に丸めるのが特徴です。
ROUNDDOWN関数との違い
逆に、ROUNDDOWN関数は常に切り捨てを行います。上記と同じ数値を使うと、次のようになります。
=ROUNDDOWN(3.141, 2)
この場合の結果は「3.14」。四捨五入せず、指定桁数以下の値は常に切り捨てになります。計画的な予算管理や、安全側に見積もりたいときに便利です。
INT関数やTRUNC関数との違い
INT関数とTRUNC関数は、整数部分を取り出すために使う関数です。たとえば「3.9」を使った場合
=INT(3.9)
→ 結果は「3」
=TRUNC(3.9)
→ 結果は「3」
どちらも小数点以下を無視しますが、INT関数は負の数で注意が必要です。
=INT(-3.9)
→ 結果は「-4」(小さい方に丸める)
=TRUNC(-3.9)
→ 結果は「-3」(小数を単純に切り捨て)
このように、ROUND関数は「四捨五入」、ROUNDUP・ROUNDDOWNは「常に切り上げ・切り捨て」、INT・TRUNCは「整数への変換」に使い分ける必要があります。
05. よくある質問とトラブルシューティング
桁数を変えても反映されない?
ROUND関数を使ったのに、数値が変わらないように見えることがあります。多くの場合、それは「セルの表示形式」に原因があります。
Excelの表示形式で小数点以下が非表示になっていると、実際には値が丸められていても、見た目が変わらないのです。関数の結果を確認するには、数式バーを見るのが確実です。
丸めた数値がずれる原因とは?
ROUND関数で数値を丸めたあとに、さらに計算を加えると「誤差」が生じることがあります。たとえば、丸めた金額を複数合計したときに、元の合計とわずかに違うことがあるのです。
このような場合は、先に合計を出してから最後にROUND関数で丸めるのがコツです。
=ROUND(SUM(A1:A5), 0)
先にSUM関数で合計し、その結果を丸めることで、誤差のない集計ができます。
表示形式と関数の違いに注意
Excelでは、「見た目」と「実際の値」が違うことがあります。セルの表示形式で「小数点以下2桁」と指定すると、たとえ「3.145」が「3.14」に見えても、実際には「3.145」のままです。
これを本当に「3.14」として扱いたい場合は、ROUND関数を使う必要があります。計算やVLOOKUPなどで正確に一致させたいときは、特に注意が必要です。
06. 実践!ROUND関数を使った例題3選
家計簿に応用してみよう
家計簿をつけるとき、1円単位まで細かく記録するより、100円単位でざっくり把握したいこともあります。そのときに使えるのがROUND関数です。
=ROUND(B2, -2)
この式は、B2セルの支出金額を100円単位で四捨五入します。1,275円なら「1,300円」と表示され、管理がぐっと楽になります。
売上集計の端数処理に活用
売上データを扱う場面では、合計金額の「端数」を処理してきれいに表示したい場合があります。例えば、税抜・税込の計算後に整数に丸めると見やすくなります。
=ROUND(B2*1.1, 0)
この式は、税抜金額(B2)に10%の消費税を加えた税込金額を、1円単位で四捨五入しています。計算ミスを防ぎ、信頼される帳票づくりができます。
アンケート結果の見せ方に使える
アンケート結果のパーセンテージ表示では、小数点以下の桁数をそろえることが重要です。バラバラな小数点は見た目に煩雑な印象を与えてしまいます。
=ROUND(回答数/総数*100, 1)&"%"
この式では、回答数を全体で割ってパーセンテージにし、小数第1位まで四捨五入してから「%」をつけています。表の見栄えが整い、説得力もアップします。