- 01. はじめに
- 02. この記事でできること
- 03. Excelでグラフを使う意味とメリット
- 04. グラフ作成の基本ステップ
- 05. 棒グラフの作り方・基本と応用
- 06. 折れ線グラフの作り方・基本と応用
- 07. グラフのデザインと見せ方のコツ
- 08. よくある失敗例とその改善方法
- 09. 実践:Excelでグラフを作るワークショップ形式解説
- 10. おすすめの参考資料・テンプレート紹介
- 11. まとめ
01. はじめに
Excelで表を作ることには慣れてきたけれど、「グラフの使い方がいまいちわからない」「見やすいグラフが作れない」と感じていませんか?
数値やデータをそのまま表にしても、パッと見では内容を把握しづらく、伝えたいことが相手に届かないこともあります。そんなときに役立つのが「グラフ」です。
グラフは、複雑な数値の流れや関係性を一目でわかるように変換してくれる、いわば「データの翻訳者」。特に「棒グラフ」と「折れ線グラフ」は、ビジネスでも日常でも活用頻度が高く、基本のグラフとして知っておくと非常に便利です。
この記事では、Excelを使ったグラフ作成の基礎から、ちょっとしたデザインの工夫、実践例までを丁寧に解説します。グラフが苦手な方でも、読み終わるころには「これならできそう」と感じていただけるはずです。
02. この記事でできること
このブログ記事を読むことで、以下のようなことができるようになります。
- Excelの基本的なグラフ作成方法(棒グラフ・折れ線グラフ)を理解できる
- 目的に応じたグラフの選び方がわかる
- 伝わるグラフの作り方・見せ方のコツを身につけられる
- 実際のデータを使って、自分でグラフを作れるようになる
また、単なる操作手順にとどまらず、「なぜそのグラフを使うのか」「どうすれば伝わるのか」といった実践的な考え方も紹介していきます。
Excelのグラフに自信がなかった方も、これを機に「グラフって楽しい」「資料がわかりやすくなった」と感じてもらえるはずです。
03. Excelでグラフを使う意味とメリット
なぜグラフが必要なのか?
Excelでは数値データを表形式で管理できますが、数字の羅列だけでは直感的に内容を理解するのが難しい場面も多々あります。特に会議や報告資料では、限られた時間で相手に「伝える」ことが求められます。
そのときに力を発揮するのが「グラフ」です。視覚的に情報を整理できるグラフは、相手の理解を早め、説得力のあるプレゼンや資料作成に欠かせない要素です。
データの「見える化」がもたらす効果
「見える化」とは、複雑な情報を誰でもすぐに把握できる形にすること。Excelのグラフを使うことで、次のような効果が得られます。
- 数値の変化や傾向を直感的に把握できる
- 比較・差異が視覚的に明確になる
- 議論や意思決定がスムーズになる
例えば、売上の増減、アンケートの結果、作業時間の推移などは、表よりもグラフの方が格段に伝わりやすくなります。
表だけでは伝わらない情報とは
数値だけの表では、「どこが重要か」「どこが変化したか」といったポイントが見落とされがちです。ですが、グラフで視覚化すれば、一目でそれがわかるようになります。
特に、時間の流れに沿った変化や、複数の項目の比較、割合の違いなどは、グラフ化することで驚くほど明確になります。
つまり、グラフとは「データをストーリーとして見せるためのツール」なのです。
04. グラフ作成の基本ステップ
グラフ化したいデータを準備しよう
まずは、グラフにしたいデータを整理します。Excelでグラフを作成するには、「縦軸(値)」と「横軸(項目)」の2軸が必要です。たとえば、月ごとの売上であれば、「月」が横軸、「売上額」が縦軸になります。
表形式で「見出し」と「データ列」がきちんと整っていることが重要です。以下のような表が理想的です。
月 | 売上 -------|------ 1月 | 150000 2月 | 170000 3月 | 160000
データ範囲を選択してグラフ挿入
グラフ化の手順はとてもシンプルです。
- グラフにしたいデータ範囲をドラッグして選択する
- Excel上部メニューの「挿入」タブをクリックする
- 「グラフ」グループから目的のグラフ種類(例:縦棒、折れ線など)を選択する
これだけで、基本的なグラフが自動で作成されます。あとは必要に応じて、軸のラベルや色などを調整していきます。
よく使われるグラフの種類とは
Excelには多くのグラフ形式がありますが、よく使われる基本形は以下の通りです。
- 棒グラフ:数量の比較に適している
- 折れ線グラフ:時間の推移や変化の傾向を示すのに適している
- 円グラフ:割合・構成比を伝えるのに適している
- 散布図:数値の相関関係を視覚化するのに便利
今回は特に使用頻度の高い「棒グラフ」と「折れ線グラフ」に焦点を当てて、詳しく解説していきます。
05. 棒グラフの作り方・基本と応用
単純な棒グラフの作成手順
棒グラフは、最も基本的で使いやすいグラフの一つです。数量や項目ごとの比較を視覚的にわかりやすく伝えるのに適しています。
- データ範囲を選択する
- 「挿入」タブ →「縦棒グラフ」→「集合縦棒」を選択
- グラフが挿入されたら、タイトルやラベルを編集して完成
棒の高さでデータの大小が直感的に伝わるため、プレゼン資料やレポートで特に重宝されます。
複数データの比較に使える「集合縦棒グラフ」
2つ以上の系列を比較したい場合は、「集合縦棒グラフ」が便利です。たとえば、「前年」と「今年」の売上を並べて比較するようなケースに使えます。
項目ごとに棒が並ぶため、各データの相対差を簡単に視認できます。
差を強調する「積み上げ棒グラフ」
全体に対する構成比や内訳を示したい場合には、「積み上げ棒グラフ」がおすすめです。
売上に対する製品別の内訳、費用に対する部門別の割合などを視覚化できます。棒全体の高さが合計値を表し、その内訳が色分けされて表示されます。
横向きに表示する「横棒グラフ」も活用しよう
ラベルが長い場合や、データが多いときには「横棒グラフ」が見やすくなることがあります。縦方向のスペースに余裕がない資料にも適しています。
横棒にすることで、見やすさや印象が大きく変わる場合もあるので、場面に応じて使い分けましょう。
棒グラフを読みやすくするデザインの工夫
棒グラフは「見た目の印象」が伝達力に直結します。以下のポイントを意識すると、より読みやすいグラフになります。
- タイトルと軸ラベルを明確にする
- 色数を絞って視認性を上げる
- 凡例(ラベル)をわかりやすく配置する
- 不要な装飾(3Dや影など)は避ける
情報が伝わりやすく、見た目もスッキリとしたグラフが理想です。
06. 折れ線グラフの作り方・基本と応用
時系列データに強い「折れ線グラフ」
折れ線グラフは、時間の経過による変化を視覚的に表現するのに適しています。月ごとの売上推移、気温の変動、アクセス数の推移など、横軸が「時系列データ」である場合に力を発揮します。
- 時系列データを含む表を用意
- 範囲を選択し、「挿入」→「折れ線グラフ」をクリック
- 作成されたグラフにタイトルや軸ラベルを追加
データ系列を複数重ねるコツ
複数の折れ線を同じグラフ上に表示することで、異なる項目同士の推移を比較できます。たとえば、商品A・B・Cの売上推移を一つのグラフに表示することができます。
系列ごとに色が分かれるため、比較がしやすくなり、トレンドを把握するのに非常に有効です。
補助線やラベルを加えて見やすくする
折れ線グラフは、補助的な要素を加えることでさらに見やすくなります。
- データラベルを追加して数値を直接表示
- 補助線(グリッドライン)で位置関係を明確にする
- 軸タイトルで縦軸・横軸の意味を明示する
とくにビジネスシーンでは、ひと目で数値が読み取れるグラフが求められます。
折れ線グラフの応用|トレンドラインの追加
変化の傾向を示す「トレンドライン」を追加すると、データの流れがより明確になります。将来の予測や分析を伝える際に便利です。
グラフ内の線を右クリック →「トレンドラインの追加」から簡単に挿入できます。線形、指数、移動平均などの種類を選べるため、目的に応じて使い分けましょう。
07. グラフのデザインと見せ方のコツ
配色・フォント・ラベルの調整
グラフの見やすさは、配色や文字の扱いによって大きく左右されます。以下のような工夫を意識すると、伝わりやすいグラフになります。
- 色は3色以内に抑える(強調色は1色のみ)
- 文字サイズは12pt前後で統一感を出す
- ラベルやタイトルは「何を表しているか」がすぐにわかる言葉を使う
強調したい部分だけ色を変える、系列ごとに色を統一するなど、視線誘導のテクニックも効果的です。
読み手の視線を誘導するグラフ配置
グラフを単に配置するのではなく、「読み手がどう見るか」を意識した並べ方をしましょう。
- データの変化が左から右へ自然に流れるよう配置する
- タイトルと軸ラベルで意図がすぐ伝わるようにする
- グラフは表とセットで配置し、データの裏付けを明示する
特に資料やプレゼンでは、グラフだけで内容が理解できる構成が理想です。
目的に応じたグラフの選び方
「とりあえず作ったグラフ」ではなく、「何を伝えたいか」に応じて形式を選びましょう。
- 比較:棒グラフ(集合・横棒)
- 変化:折れ線グラフ
- 割合:円グラフ・積み上げ棒グラフ
伝えたいことが明確であればあるほど、適切なグラフ形式も自然に選べるようになります。
08. よくある失敗例とその改善方法
グラフがごちゃごちゃする原因とは
グラフが見づらくなる最大の原因は、「情報の詰め込みすぎ」です。多くのデータを一度に表示しようとすると、棒や線が重なり、何を伝えたいのかがぼやけてしまいます。
特に以下のような点に注意しましょう。
- 系列数が多すぎる
- 色がバラバラで識別しづらい
- フォントサイズが小さい・多すぎる
改善策としては、「比較は2〜3項目まで」「必要のない情報は省略する」など、情報の取捨選択が有効です。
伝えたいことがぼやける配置や配色
見せ方のミスで、せっかくのグラフが伝わらないこともあります。たとえば、色のコントラストが低すぎて違いが見えにくい、強調したい項目が目立たない、などです。
このような場合、次のような工夫をすると改善できます。
- 強調色を1色に絞り、他はグレー系で抑える
- 注目してほしいデータを太字や補足で説明
- 背景色やグリッド線を極力使わず、シンプルにまとめる
不自然な軸設定や誤解を招く表示例
意外と多いのが、軸の設定ミスです。例えば、縦軸の最小値を途中から設定すると、差が実際より大きく見えてしまい、誤解を招く恐れがあります。
また、単位が不統一だったり、目盛りが細かすぎたりするのも、見る人にストレスを与えます。
改善方法は次のとおりです。
- 軸の最小値・最大値は自動設定または適切に調整
- 単位や数値の桁数をそろえる
- 補助線や注釈を使って、軸の意味を明確にする
「誤解を生まない正確なグラフ」を目指すことが大切です。
09. 実践:Excelでグラフを作るワークショップ形式解説
サンプルデータで棒グラフを作成してみよう
以下のような売上データを使って、集合縦棒グラフを作成してみましょう。
月 | 店舗A | 店舗B -------|--------|------- 1月 | 120000 | 110000 2月 | 150000 | 130000 3月 | 170000 | 160000
- 上記データをExcelに入力
- 範囲(A1〜C4)を選択
- 「挿入」→「縦棒グラフ」→「集合縦棒」を選択
- グラフタイトルを「月別売上(店舗別)」に変更
これで、月別の店舗ごとの売上比較が視覚的にわかりやすく表示されます。
折れ線グラフで売上推移を表現してみよう
次に、月ごとの全体売上をまとめた折れ線グラフを作ってみます。
月 | 総売上 -------|-------- 1月 | 230000 2月 | 280000 3月 | 330000
- データをExcelに入力
- 範囲(A1〜B4)を選択
- 「挿入」→「折れ線グラフ」→「マーカー付き折れ線」を選択
- グラフタイトルを「売上推移」とする
月ごとの売上成長が折れ線で一目瞭然になります。
作成したグラフをレポートに貼り付ける方法
作成したグラフは、報告資料やパワーポイントにも活用できます。
- グラフを右クリック→「コピー」
- WordやPowerPointを開いて「貼り付け」
- レイアウトを調整し、タイトルや補足コメントを追記
グラフは単なる装飾ではなく、「伝えるための武器」。正確に、かつ見やすく仕上げることが信頼につながります。
10. おすすめの参考資料・テンプレート紹介
Microsoft公式のチュートリアル
グラフ作成に関してもっと詳しく学びたい方には、Microsoft公式のサポートページがおすすめです。基本操作から応用的なグラフまで網羅されており、操作ごとの図解も丁寧です。
無料で使えるグラフテンプレート集
時間をかけずに質の高いグラフを作りたい方は、無料テンプレートを活用すると効率的です。
- Officeテンプレート(Excel公式サイト)
- テンプレートバンク
- Canva(グラフ用テンプレートあり)
これらのテンプレートはカスタマイズも簡単なので、デザインが苦手な方でも安心して使えます。
グラフデザインのインスピレーションを得る方法
もっと「見せる」グラフを作りたいなら、他人のグラフを参考にするのが効果的です。以下のようなサイトや本を活用して、デザインの引き出しを増やしましょう。
- Pinterest や Behance で「Excel Graph」で検索
- 『伝わるデザインの基本』などの書籍
- SlideShareでビジネス資料をチェック
見る力がつけば、作る力も自然と高まります。
11. まとめ
Excelグラフは「伝える」力を強化するツール
Excelでのグラフ作成は、単なる装飾やオマケではありません。数字を「伝わる情報」に変換するための、非常に強力なツールです。
棒グラフも折れ線グラフも、ちょっとした工夫で「ただのグラフ」から「伝えるグラフ」に変わります。そして、それが資料の説得力やプレゼンの印象を大きく左右するのです。
今日から実践してみよう
今回ご紹介した内容は、すべて今日からすぐに実践できるものばかりです。まずは手元のデータで1つ、グラフを作ってみてください。
「伝えたいことが伝わる」喜びを、ぜひ体感してください。そして、自分だけの見せ方を少しずつ磨いていきましょう。
Excelのグラフは、あなたの仕事も、あなたの資料も、もっと魅力的に変えてくれます。