- 01.IFS関数とは?使い方と基本構文をマスターしよう
- 02.SWITCH関数とは?選択肢がある場合に強い味方
- 03.IFSとSWITCHの使い分け方|どっちを使うべき?
- 04.より実践的な応用テクニック
- 05.よくあるエラーとその対処法
- 06.作業効率が劇的に変わる!IFS・SWITCH関数の活用術まとめ
01.IFS関数とは?使い方と基本構文をマスターしよう
IF関数との違いとは?
Excelで条件に応じた処理を行うとき、まず思い浮かぶのがIF関数です。しかし、条件が増えていくと「ネスト(入れ子)」が複雑になり、読みづらく・ミスもしやすくなります。
そこで登場するのが「IFS関数」。これはExcel 2016以降で使える、複数条件に対応した新しい関数です。
IFS関数の基本構文と書き方
IFS関数の構文はとてもシンプルです。以下のように書きます。
=IFS(条件1, 結果1, 条件2, 結果2, ..., 条件n, 結果n)
条件と結果をペアで並べていくだけで、上から順に評価され、最初に満たした条件の結果が返されます。
実例で学ぶ:評価の判定表を作ってみよう
例えば、テストの点数に応じて「評価」をつけたいとします。
=IFS( A2>=80, "優", A2>=60, "良", A2>=40, "可", A2<40, "不可" )
このように書くことで、点数に応じた評価をスッキリ表現できます。IF関数を何重にも重ねる必要はありません。
IFS関数のメリット・デメリット
- メリット:ネスト不要で読みやすい/条件が増えても構造がシンプル
- デメリット:1つも条件を満たさなかった場合はエラー(#N/A)になる/デフォルト値を設定できない
なお、最後に TRUE, "その他"
のように記述しておけば、すべての条件に該当しない場合のフォールバック(デフォルト値)を設定できます。
=IFS( A2>=80, "優", A2>=60, "良", A2>=40, "可", TRUE, "その他" )
02.SWITCH関数とは?選択肢がある場合に強い味方
SWITCH関数の特徴と用途
SWITCH関数は、ある「値」に応じて、それに対応する結果を返す関数です。
IF関数やIFS関数では条件を評価するのに対し、SWITCH関数は「特定の値をスイッチ(切り替え)」するというイメージです。
たとえば、数値や文字列に応じた分類・ラベル付けなど、「選択肢が明確に決まっている場合」に特に強力です。
基本構文と使用例をチェック
SWITCH関数の基本構文は以下の通りです。
=SWITCH(式, 値1, 結果1, 値2, 結果2, ..., [デフォルト])
たとえば、曜日の数字(1~7)に応じて、曜日名を表示したい場合は次のように書けます。
=SWITCH(A2, 1, "日曜", 2, "月曜", 3, "火曜", 4, "水曜", 5, "木曜", 6, "金曜", 7, "土曜", "不明" )
A2が1なら「日曜」、7なら「土曜」、それ以外なら「不明」となります。
実例で学ぶ:商品コードから商品名を表示させる
商品コードが「A1」「A2」「A3」などと入力されており、それに対応する商品名を表示する場合は以下のようになります。
=SWITCH(B2, "A1", "りんご", "A2", "バナナ", "A3", "オレンジ", "その他" )
このように、複数のコードとそれに対応する表示値をスッキリとまとめることができます。
SWITCH関数の注意点と落とし穴
- デフォルト値が最後にしか書けない:IF関数のように途中で挟むことはできません
- 式の評価は「完全一致」:部分一致や範囲指定はできません
- バージョン注意:Excel 2016以降のみ対応。古いバージョンでは使えません
このような点を押さえつつ、用途に合った場面で使うことでSWITCH関数は非常に効率的なツールになります。
03.IFSとSWITCHの使い分け方|どっちを使うべき?
条件分岐の数で判断する
IFS関数は「条件が複雑で範囲を評価する」ケースに向いており、SWITCH関数は「特定の値ごとに分岐する」ケースに向いています。
以下のように使い分けると効果的です。
- IFS関数:点数が80点以上なら「A」、60点以上なら「B」…のような条件評価
- SWITCH関数:コード「A1」「A2」「A3」ごとに分類するような選択肢分岐
よくある業務シーンで比較
例えば業務の中で、以下のような処理があったとします。
- 社員の成績評価(点数に応じたランク)→ IFS関数
- 部門コードに応じた部署名の表示 → SWITCH関数
このように、判断の基準が「範囲」か「一致」かで、関数の適性が異なります。
シンプルな処理 vs 柔軟な条件設定
SWITCH関数はシンプルで書きやすく、「値が決まっている」処理に向いていますが、柔軟な条件(例えば60以上80未満など)は扱えません。
一方、IFS関数は自由度が高いため、細かな条件分岐にも対応できます。
そのため、複雑な条件ロジックが必要な場合はIFS関数を選び、明確な選択肢が並ぶような場合はSWITCH関数を選ぶと作業効率が上がります。
04.より実践的な応用テクニック
IFS関数×AND・ORの組み合わせ技
IFS関数は、AND
やOR
関数と組み合わせることで、さらに複雑な条件分岐にも対応できます。
たとえば、「点数が60点以上かつ出席率が80%以上なら合格」という条件は次のように書けます。
=IFS( AND(A2>=60, B2>=0.8), "合格", TRUE, "不合格" )
このように、複数の条件を1つの論理式としてまとめられるため、処理の自由度が格段に上がります。
SWITCH関数×セル参照の活用術
SWITCH関数の「式」部分には、セル参照を使うこともできます。
たとえば、ユーザーが選択したカテゴリに応じて分類を表示するような処理が可能です。
=SWITCH(D2, "食品", "消費税8%", "書籍", "軽減税率", "電化製品", "消費税10%", "未分類" )
セルD2に入力された値に応じて、適切な分類が表示されるため、入力補助やマスタ連携にも応用できます。
IF関数からの置き換え例
長いIF関数をIFS関数に置き換えると、以下のようにスッキリします。
Before(IF関数):
=IF(A2>=80,"優",IF(A2>=60,"良",IF(A2>=40,"可","不可")))
After(IFS関数):
=IFS( A2>=80, "優", A2>=60, "良", A2>=40, "可", TRUE, "不可" )
IFS関数に置き換えることで、構造が見やすくなり、将来の修正や共有時にも扱いやすくなります。
05.よくあるエラーとその対処法
#N/A、#VALUE! が出たときのチェックポイント
IFS関数やSWITCH関数を使っていてよく見かけるのが「#N/A」や「#VALUE!」のエラーです。
それぞれの原因は以下の通りです。
- #N/A:すべての条件に合致しない、もしくはSWITCH関数で該当値が見つからない
- #VALUE!:引数が正しくない、または関数の構文ミス
特にIFS関数では、「どの条件にも一致しない」場合に#N/Aが返るため、最後にTRUE, "その他"
を追加してフォールバックの結果を設定するのが重要です。
括弧の閉じ忘れ、引数不足に注意
関数が動かない場合、多くは「括弧の閉じ忘れ」や「引数の数が合っていない」ことが原因です。
IFS関数は条件と結果をセットで記述する必要があるため、偶数個の引数があるかをチェックしましょう。
=IFS( A2>=80, "優", ← OK A2>=60 ← NG:結果が抜けている )
複雑すぎる場合の簡略化テクニック
条件が多すぎて見通しが悪くなった場合は、以下のような工夫をしましょう。
- 補助列を使う:複雑な条件は別列で一度処理してから関数に使う
- LOOKUP関数との併用:表を用意して参照することで、SWITCHの代わりになる場合も
- コメントをつける:関数内に書けないため、セルにメモやコメントを活用する
関数はあくまで手段。複雑すぎる処理は、まず見やすさ・保守性を優先するのが長期的には効率的です。
06.作業効率が劇的に変わる!IFS・SWITCH関数の活用術まとめ
一度覚えれば一生使える便利ワザ
IFS関数とSWITCH関数は、複雑なIF関数のネストに代わる強力なツールです。
構文に慣れるまでは戸惑うかもしれませんが、一度理解してしまえば日々の作業が驚くほどスムーズになります。
特に、業務で頻繁に使う「条件分岐」「ラベル付け」「分類作業」などでは、これらの関数の効果は絶大です。
IF地獄から抜け出そう
「IF関数がネストしすぎて訳が分からない…」「どこを直せばいいのか分からない…」そんな“IF地獄”に悩んでいた方も、IFSとSWITCHでスッキリ解決できます。
今後のExcel作業を劇的に改善する第一歩として、ぜひ使いこなしてみてください。
これからのExcelスキルに差がつくヒント
業務効率化が求められる今、Excelの使い方一つで作業スピードも成果も変わります。
IFSとSWITCHを覚えることは、単に関数を覚えるだけでなく「考え方」「見通しの良い処理設計」の習得にもつながります。
今日学んだことを、自分の業務にぜひ取り入れてみてください。小さな工夫が、大きな成果につながります。