- 1.はじめに
- 2.エクセルにおける掛け算の基本
- 3.PRODUCT関数で掛け算を効率化
- 4.複数セルや列を掛け算する方法
- 5.応用テクニックとトラブル対処法
- 6.実務での掛け算活用例
- 7.時短ワザ!コピー&オートフィルの活用
- 8.まとめ
1.はじめに
エクセルで「掛け算」、意外と奥が深い話
「え、掛け算? エクセルで =A1*B1
って入力するだけでしょ?」
そんなふうに思っていませんか?
もちろん、それも正解です。でも実はエクセルには、掛け算をもっと効率的に、もっと柔軟に処理するための方法がいくつも用意されているんです。
日々の業務で売上データをまとめたり、請求書を作成したり、商品の在庫管理をしたり…。
そんな場面で頻繁に登場する「掛け算」。手作業で入力していては、時間もかかるし、ミスも起きやすい。
だからこそ、掛け算の正しいやり方、便利な関数、そして応用テクニックを知っておくことで、作業効率はグッとアップします。
このブログでは、エクセル初心者の方にもわかりやすく、「掛け算」の基本から応用までを体系的に解説していきます。
数式入力だけじゃない!関数を使えばもっと便利に
エクセルでの掛け算といえば、たいてい「*(アスタリスク)」を使った数式入力が思い浮かびますよね。
たとえば =A2*B2
というようなシンプルな式。でも、これって実は、関数を使うともっとスッキリ書けたり、大量のデータに対応できたりするんです。
例えば、複数のセルを一括で掛けたいときに使える PRODUCT
関数や、列や行を固定する「$」マークの使い方、さらには掛け算×IF関数のコンビネーションまで!
「関数」と聞くと少しハードルが高そうに思えるかもしれませんが、心配ご無用。
この記事では、関数をまるで「道具箱の中の便利アイテム」のように、使いどころや使い方を丁寧に紹介していきます。
それではさっそく、掛け算の世界をのぞいてみましょう!
2.エクセルにおける掛け算の基本
セル同士の掛け算「=A1*B1」の意味
エクセルで掛け算をする一番シンプルな方法、それは セル同士を「*(アスタリスク)」でつなぐことです。
たとえば、次のような表があったとします。
A列(数量) | B列(単価) |
---|---|
5 | 200 |
3 | 150 |
このとき、C列に「数量 × 単価」の結果を表示したい場合は、C1セルに以下の数式を入力します。
=A1*B1
これだけで、A1セルの「5」とB1セルの「200」が掛け算されて、「1000」が表示されます。
まるで電卓いらず!
さらに、この数式を下にコピーすれば、他の行でも同じ計算が自動で行われます。便利ですね。
四則演算ルールを押さえよう(割り算・足し算との違い)
エクセルの数式では、「+(足し算)」「-(引き算)」「*(掛け算)」「/(割り算)」といった四則演算記号が使えます。
でも、ここで大事なのが「演算の順序」です。
たとえば、次の数式を見てください。
=2+3*4
直感的には「(2+3)×4=20」と思ってしまうかもしれませんが、エクセルでは掛け算が先に計算されるため、答えは「2+12=14」になります。
つまり、エクセルでは掛け算・割り算が優先されるんです。
どうしても先に足し算をさせたいときは、カッコを使って制御しましょう。
=(2+3)*4
これなら、「5×4=20」となります。
かける順番を間違えると結果がズレる?
掛け算は「順番を変えても結果が同じ」…これは数学で学んだ通りですね(交換法則)。
ですが、エクセルで複数のセルや関数を組み合わせて計算する場合、順番に注意が必要なケースもあります。
たとえば、次のような式
=A1+B1*C1
これは「B1×C1」が先に計算され、そのあとA1が加算されます。
つまり、B列やC列に値が入っていない(空白やエラー)場合、思わぬ結果になることも。
カッコを使って意図した順番で計算させるクセをつけておくと、ミスもぐんと減りますよ。
さて、ここまでで「*を使った掛け算」と「基本的な演算ルール」がつかめてきましたね。
次章では、より柔軟に複数のセルを一括で掛け算できる PRODUCT関数 に進みましょう!
3.PRODUCT関数で掛け算を効率化
PRODUCT関数とは?
「掛け算は =A1*B1
でいいんじゃないの?」
…そう思ったあなた、半分正解で、半分もったいない!
PRODUCT関数は、複数の数値やセル範囲を一度に掛け合わせることができる、便利な関数です。
=PRODUCT(数値1, 数値2, ...)
という構文で、何個でも掛け算できます。
普通の「*」では3つ以上の数を掛ける場合、例えばこんな感じになります。
=A1*B1*C1
それが PRODUCT
を使うと…
=PRODUCT(A1, B1, C1)
と、よりスマートに書けて、範囲も指定しやすくなるんです。
基本の使い方:=PRODUCT(A1,B1)
まずは基本から。次のような表があったとします。
A列(数量) | B列(単価) |
---|---|
5 | 200 |
このとき、=PRODUCT(A1,B1)
と入力すると、A1 × B1 = 1000 が返ってきます。
=A1*B1
とまったく同じ結果ですが、PRODUCT
を使うことで、数が増えても対応しやすくなります。
範囲指定も可能:=PRODUCT(A1:A5)
PRODUCT関数の真骨頂、それはセル範囲をまとめて掛け算できること。
例えば、A1〜A5に「1, 2, 3, 4, 5」が入っていた場合、
=PRODUCT(A1:A5)
とすれば、1×2×3×4×5=120 が一発で求まります。
もし =A1*A2*A3*A4*A5
と打っていたら…途中でミスするか、数式が見にくくなっていたことでしょう。
PRODUCT関数のメリット・デメリット
メリット
- 大量の掛け算に強い!
- 構文がシンプルで可読性が高い
- ゼロや空白の扱いが柔軟(ゼロがあると全体がゼロになるが、空白は無視)
- 関数ネストにも向いている
デメリット
- 掛け算の順番を厳密にコントロールしたいときには不向き
- ゼロが混ざると結果がゼロになってしまう(意図しない場合は注意)
- 単純な2項掛け算にはややオーバースペック
結論として、2つだけの掛け算なら「*」でもOK。
でも、3つ以上の数値やセルを掛け算する場合や、範囲で扱いたいときにはPRODUCT関数が最適です。
次章では、実際の業務でもよく使われる「列や行の掛け算」や、「固定セルのテクニック」などを紹介します!
4.複数セルや列を掛け算する方法
行や列全体を一括で掛け算するには
例えば、商品の「数量」と「単価」が一覧で並んでいて、それぞれの「金額(=数量×単価)」をまとめて出したいとします。
A列(数量) | B列(単価) | C列(金額) |
---|---|---|
5 | 200 | =A2*B2 → 1000 |
3 | 150 | =A3*B3 → 450 |
10 | 120 | =A4*B4 → 1200 |
このように、C列に掛け算の数式を入れて、オートフィルで下までコピーするだけで、一括で掛け算が完成します。
さらにスマートにしたい場合は、PRODUCT関数を使ってもOK!
=PRODUCT(A2,B2)
どちらでも結果は同じですが、「列が増えてきた」「数式を自動化したい」といった場合には、PRODUCTの方がメンテナンスしやすくなります。
「$」の使い方で固定するテクニック
列や行のコピーをする際に参照セルを固定したい場合は、「$(ドル記号)」を使います。これを絶対参照と呼びます。
たとえば、消費税率をD1セルに入れておき、金額×税率を一括で求めたいとき。
C列(税抜価格) | D列(税率) | E列(税込価格) |
---|---|---|
1000 | 0.1 | =C2*$D$1 → 100 |
1200 | =C3*$D$1 → 120 |
$D$1
と書くことで、「列も行も絶対固定」になります。
これで、下にコピーしても税率がずれずに計算されます!
絶対参照のパターン
書き方 | 意味 |
---|---|
$A$1 |
列も行も固定 |
A$1 |
行だけ固定(列は変わる) |
$A1 |
列だけ固定(行は変わる) |
必要に応じて使い分けると、作業効率が爆上がりします。
相対参照と絶対参照の使い分け
ここまで読んで「なんだか難しそう…」と思った方もご安心を。
実際には、「動かしたくないセルに$をつける」というルールさえ覚えておけばOK!
- 同じ列(または行)に同じ値をかけたいとき → 絶対参照($を使う)
- 隣のセルなど、相対的に掛け算したいとき → 相対参照(そのまま)
この感覚さえ身につけば、コピー&オートフィルも怖くありません。
次章では、「掛け算でよくあるトラブル」とその対処法&応用テクニックを紹介します。
「空白が混ざってうまくいかない!」「#VALUE!が出てきた…」など、現場でよくある問題もここで解決していきましょう!
5.応用テクニックとトラブル対処法
空白セルやゼロがあるときの対処法
掛け算でよくあるのが、「一部のセルが空白」だったり「ゼロ」が入っていて、計算結果がゼロになってしまうというパターン。
例えば、次のような表があるとします。
A列(数量) | B列(単価) | C列(金額) |
---|---|---|
5 | 200 | 1000 |
空白 | 150 | 0 ←!? |
このように、片方が空白またはゼロの場合、結果が「0」になります。
意図的ならOKですが、「うっかり入力漏れ」の場合は困りますよね。
対策①:IF関数で空白チェック
以下のように IF
関数を使って、空白だった場合は空欄を返すようにできます。
=IF(OR(A2="", B2=""), "", A2*B2)
解説:
- OR(A2="", B2="")
:A2かB2が空白なら…
- ""
:空白を表示
- A2*B2
:それ以外は掛け算
対策②:IFERRORでエラーだけ防ぐ
たとえば文字が混じっていて #VALUE!
エラーが出るときなどは、IFERROR
が便利。
=IFERROR(A2*B2, "")
これで、エラーが出た場合には空欄が表示されます。
掛け算でエラー「#VALUE!」が出るときの原因と対策
「数式は合ってるのに #VALUE!
エラーが出る…なんで?」というのもよくある話。
主な原因はこれ
- 数値でない文字列が混ざっている
- セルにスペース(空白文字)が含まれている
- 記号や全角文字が邪魔している
対策:CLEAN関数やVALUE関数を使う
文字列っぽい見た目でも「数字として認識されていない」ことがあります。
そんなときは VALUE()
で数値に変換できます。
=VALUE(A2)*VALUE(B2)
あるいは、不要な記号や改行を取り除くなら CLEAN()
や SUBSTITUTE()
が有効です。
IF関数と組み合わせて条件付き掛け算にチャレンジ!
「在庫があるときだけ金額を表示したい」「フラグが1のときだけ掛け算したい」
そんな“条件付き掛け算”も、IF関数を組み合わせれば自由自在!
例:在庫があるときだけ表示
=IF(C2>0, A2*B2, "")
「C列に在庫数がある場合だけ掛け算、それ以外は空白」という処理ができます。
例:チェック列が"はい"のときだけ
=IF(D2="はい", A2*B2, "")
業務フローや確認チェックなど、実務での応用範囲がぐんと広がりますね。
次章では、実務でよくある「掛け算の活用例(売上・請求書・原価計算など)」をシーン別に紹介します。
「これ、明日からそのまま使えるじゃん!」というレベルのテンプレ付きです。お楽しみに!
6.実務での掛け算活用例
売上管理表で「数量×単価」
エクセルで最もよく使われる掛け算パターンのひとつが、売上金額の計算です。
商品名 | 数量 | 単価 | 売上金額(数量×単価) |
---|---|---|---|
商品A | 10 | 500 | =B2*C2 → 5000 |
商品B | 3 | 1200 | =B3*C3 → 3600 |
商品C | 5 | 800 | =B4*C4 → 4000 |
このように、「数量 × 単価 = 売上金額」というのは定番中の定番。
毎月の売上集計や部門別の報告書作成など、さまざまな場面で登場します。
POINT
- 税率を考慮する場合は、「=B2C2(1+税率)」とすればOK!
請求書での税率計算
請求書の作成でも掛け算は大活躍。小計や税金、合計の算出に使われます。
項目 | 金額 | 税率 | 消費税 | 合計金額 |
---|---|---|---|---|
作業費 | 20,000 | 10% | =B2*C2 → 2000 |
=B2+D2 → 22000 |
ここでは、金額 × 税率 = 消費税。そして、金額+消費税 = 合計金額という流れですね。
ポイント - 税率をセル(例:C2)に入れておくと変更に強くなります。 - 消費税10%は「0.1」として扱います。
原価計算や利率計算にも使える!
掛け算の応用範囲は売上や請求だけにとどまりません。
例えば以下のような場面でも重宝します。
原価計算
原材料の単価と使用量から、製品1個あたりの原価を計算。
=単価 * 使用量
利率計算
金額に利率(歩合)を掛けて、報酬や手数料を算出。
=報酬対象金額 * 利率
担当者 | 売上 | 歩合(%) | 報酬金額 |
---|---|---|---|
佐藤 | 500,000 | 5% | =B2*C2 → 25,000 |
営業部門や経理で「数字を扱う職場」なら、どこでも掛け算が活躍していることが分かりますね。
次章では、作成した数式を一気に展開・複製できる「オートフィル」や「コピー」の時短テクニックをご紹介します。
特に大量データを扱う人には、知らないと損する便利技が盛りだくさんです!
7.時短ワザ!コピー&オートフィルの活用
数式を一括でコピーする方法
エクセルで数式を1行ずつ入力していたら、日が暮れてしまいます。
そんなときに大活躍するのが、コピー&ペースト!
例えば、C列に「=A2*B2」と入れた後、それをC3〜C100まで一括で適用したい場合
- C2セルをクリック
- 右下の「■(フィルハンドル)」にカーソルを合わせる
- 下にドラッグする(またはダブルクリック)
これだけで、下の行にも数式がコピーされ、自動で行番号が更新されます(相対参照)。
オートフィルでパターンを一気に展開
オートフィル機能は、掛け算だけでなくパターンの自動補完にも使えます。
例1:繰り返しの掛け算
数量 | 単価 | 金額 |
---|---|---|
5 | 200 | =A2*B2 |
5 | 200 | =A3*B3 |
5 | 200 | =A4*B4 |
このように、繰り返し構造のデータも、オートフィルを使えば一発で展開できます。
例2:掛け算の結果+α
掛け算のあとに別の計算を組み合わせたパターンも同様にコピー可能です。
=IF(A2>0, A2*B2*1.1, "")
こうした数式でも、オートフィルで条件付き計算を一括展開できます。
オートフィルがうまくいかないときのチェックポイント
「数式がうまくコピーされない…」そんなときの主な原因と対処法を見ていきましょう。
トラブル内容 | 原因 | 対処法 |
---|---|---|
数式が同じ値のままになる | セルが固定されている | 相対参照($なし)を使う |
途中でコピーが止まってしまう | 隣接セルが空白 | オートフィルせず手動コピー |
エラー表示になる | 数式がデータと合っていない | セル範囲や関数を見直す |
裏技:Ctrl+DとCtrl+R
Ctrl+D
→ 上のセルを下にコピーCtrl+R
→ 左のセルを右にコピー
ショートカットで作業スピードも倍増!
さて、ここまでで「掛け算の基礎」「関数」「実務応用」そして「時短テク」までカバーできました。
次章ではまとめとして、学んだ内容を振り返りつつ、さらに次の関数テクへと誘います。
8.まとめ
掛け算は関数の入り口
ここまで、「=A1*B1」のような基本の掛け算から、PRODUCT関数、IFとの組み合わせ、業務活用、そして時短テクまで幅広く紹介してきました。
「ただの掛け算」と侮るなかれ。
掛け算を制する者は、表計算を制す と言っても過言ではありません。
なぜなら、掛け算には以下のような力が詰まっているからです。
- セル参照(相対/絶対)の理解が深まる
- 関数の使い分けが学べる
- 実務での「数字を扱う感覚」が身につく
- IF関数などのロジック系関数との連携を覚えやすくなる
つまり、掛け算はエクセルスキルの“登竜門”とも言えるのです。
掛け算を制する者は表計算を制す!
掛け算が自在に使えるようになると、以下のような場面で大活躍します。
- 商品別の売上集計
- 請求書や見積書の自動計算
- 報酬や歩合などの算出
- 在庫管理、原価管理などのコスト計算
- 条件付きシミュレーションや予測分析
ここで身につけた内容を使えば、これらの作業も手作業ゼロ・ミスゼロでこなせるようになります。
そして、関数の組み合わせを学べば、より複雑な集計やデータ分析へも踏み出せるようになります。
次は「SUMPRODUCT」や「ARRAYFORMULA」へ挑戦?
掛け算の応用として、次のステップにオススメなのが以下の関数たち。
SUMPRODUCT関数
- 行列ごとの掛け算と合計が一発でできる
- 分析系の集計や重み付け計算に便利
- 条件付きでの集計も可能!
ARRAYFORMULA(Googleスプレッドシート)
- 式ひとつで範囲全体に数式を適用
- 他の関数との相性も良好
さらに高度な活用
- 複数条件付きの計算(SUMIFS + 掛け算)
- VBAやPower Queryとの連携による自動化
エクセルは「覚えるほどラクになる」ソフトです。最初は覚えるのが大変でも、しっかり基礎を押さえれば、後から何倍にも効いてくる武器になります。
今日からは、「効率化できるチャンス!」と感じられるようになったはずです。実務の中で、あなたのシートがよりスマートに、より強力に進化していくことを願っています!